「社員の高齢化」「長時間残業」にどう対応するか?IT業界が抱える人事問題の解決方法とは?

改善事例 2

B社 ソフトウェア開発業(従業員100名) 裁量労働制を導入し、残業代削減と社員のモチベーションアップに成功!

 裁量労働制については、メリットだけでなくデメリットや注意点にも十分に留意した上で、導入の有無や制度内容を検討することが必要です。
 また、もし裁量労働制を導入する場合には、以下の事例のように、業務の繁忙な社員のモチベーションを下げないようにするための工夫を取りいれるべきです。

裁量労働制を取りいれたB社の給与制度のイメージ

■裁量労働制を導入している場合の給与体系(非管理職)

月給=基本給+家族手当+裁量労働手当+その他残業代(休日・深夜) 賞与繁忙加算

■裁量労働手当テーブル

等級 1日所定
労働時間
1日みなし
労働時間
等級別 基本給最高額 手当算定用の
残業時間(月)
裁量労働手当
月額 時間単価
6等級 8h 9h 300,000円 1,786円 23h 52,000円
5等級 8h 9h 280,000円 1,667円 23h 48,000円
4等級 8h 9h 260,000円 1,548円 23h 45,000円

※月平均の所定労働日数を21日とした上で、時間単価を算出。
※裁量労働手当算出用の月額残業時間は、月間の所定労働日数が最大となる23日に基づき算出。
※裁量労働手当の金額は、実際の計算額の千円未満を切り上げている。
※法定休日以外の所定休日は、みなし労働の設定対象日としていない。
※1〜3等級は、裁量労働制の適用対象外。(7等級以上は管理監督者)

■賞与繁忙加算 支給ルール

・半期ごとの実残業時間が月平均23hを大きく超えており、かつ当該超過が明らかに業務の繁忙によるものである場合には、担当役員の判断により該当社員に対して賞与支給時に繁忙加算を支給する。

・賞与繁忙加算の支給額は、以下の範囲内で担当役員が決定する。(※半期ごと)
【6等級】 50,000〜150,000円
【5等級】 50,000〜120,000円
【4等級】 50,000〜100,000円

裁量労働制のメリットとデメリット

メリット

1. 社員は自らのペースで仕事に従事することができるため、裁量性を好む社員のモチベーションアップを図ることが期待できる。

2. みなし労働時間の適用により、業務効率性の悪い社員に対して必要以上の残業代を支払う必要がなくなる。

3. 労働時間ではなく成果や能力を重視した処遇に転換できる。

4. みなし労働時間の適用により、いわゆる“生活残業”の減少が期待できる。

5. 所定労働日の時間外割増賃金を計算する必要がなくなる。(※但し、勤務状況の把握は必要。また深夜割増は別途支給が必要)

デメリット

1. 裁量権の無い社員には、当該制度を適用できない。(上司の具体的な業務指示を受ける若手社員、プロジェクト内でPMの具体的管理下にあるメンバーなど)

2. 対象者に対して、会社や上司は「仕事の進め方と時間配分」に関して具体的指示を出すことができない。

3. 法定休日や深夜については、労働時間に応じた割増賃金が必要。

4. 実際の業務の繁閑が割増賃金に反映されない。(→非常に忙しい社員のモチベーションダウン)

5. 「健康・福祉確保措置」や「苦情処理措置」のように、制度導入に伴う発生業務がある。

優先的に減らすべき残業時間は、「低効率・低能率による残業」やいわゆる「生活残業」です。このような残業の発生を少しでも抑えるために、人事評価の内容を今一度見直すことが効果的です。
また、よりダイナミックな方法としては、業務効率に関する評価結果をダイレクトに賞与に反映させるという方法もあります。

業務の効率面・能率面に関する評価項目のイメージ (※プロセス評価)

スケジューリング

所属するプロジェクト全体の作業工程をしっかりと理解した上で、担当業務の作業計画を自ら立案すると同時に、当該計画に沿った業務遂行を実践していたか。

作業スピード

技術スキルの向上や業務への集中力を高めることにより、時間当たりの作業スピードを少しでも速くすることに努めていたか。

優先順位付け

作業計画や今後の業務計画を十分に理解した上で、最適な作業の優先付けを行った上で業務に取り組んでいたか。

例外的・突発的対応

デバッグや設計トラブルなど当初想定していなかった事象が発生した場合でも、冷静に原因を突き止めた上で、可能な限り迅速な対応を実践していたか。

作業時間に
対する意識

所定労働時間内で担当業務を終了させることを日々意識し、無駄に残業するような姿勢は見られなかったか。

作業効率に関する
後輩指導

自らの業務を効率的/能率的に進めるだけでなく、後輩のPJメンバーに対しても、作業の効率化や能率アップに向けて具体的な指導/支援を行なっていたか。

賞与算定式における業務効率評価の反映イメージ

■賞与算定方式

賞与支給額=基本給×支給月数×個人評価係数×業務効率係数

■業務効率係数テーブル

残業の実態 業務効率係数
業務の効率・能率に優れており、期待以上の業務量を非常に早く終わらせていた 1.10
無駄な残業や低効率・低能率による残業はほとんどなかった 1.00
無駄な残業や低効率・低能率による残業が一部あった 0.85
無駄な残業や低効率・低能率による残業が非常に多かった 0.70

※残業時間が多いというだけで賞与を減らすのは、脱法行為になる恐れあり。あくまでも、「業務の効率性」の実態に基づいた判断をすること。

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